64 会計監査

日本と異なる点に注意
香港の会計・監査のシステム
適切な会計処理のためによく知っておこう

 香香港の会計制度は、会社条例(CompaniesOrdinance)によって規定されている。基本的には日本と同様に考えても問題はないが、日本と異なる点として、香港での会計監査は全ての会社に義務付けられているため、注意が必要だ。

■ 会計
・会計基準
会計基準については、会社条例の中に具体的な規定がないため、香港公認会計士協会(Hong Kong Institute of Certified PublicAccountants: HKICPA)が公表している以下3つのいずれかの基準に従うことになる。
(1)香港財務報告基準
香港財務報告基準は2005年1月1日より国際財務報告基準(International FinancialReporting Standards: IFRSs)及び国際会計基準(International Accounting Standards: IASs)(以下、合わせて「IFRSs」)にフルコンバージェンスしたため、実質的には「IFRSs」と同一の基準となっている。

(2)中小企業財務報告基準
中小企業財務報告基準は、全ての会社に国際財務報告基準を適用する上で、事務負担が大きいことを考慮して作られた会計基準である。対象となるのは非公開会社であり、一定の要件を満たす小規模会社がそれにあたる。

(3)私的会社香港財務報告基準
私的会社香港財務報告基準は、中小企業向け財務報告基準(IFRSs for SMEs)に準拠する形で作成・発表された。香港の中小企業財務報告基準における「中小企業」の定義が、「IFRSs」での「中小企業」と完全には一致していないため、新たに設けられた基準だ。公的な説明責任(PublicAccountability)がない会社に対し、適用可能となる。

・香港と日本の会計基準の差異
香港と日本の会計基準の差異は、「IFRSs」と日本の会計基準の差異と同一であるといえる。
・財務諸表
会社は包括利益計算書、財政状態計算書に加え、キャッシュ・フロー計算書及び持分変動計算書を作成する必要がある。キャッシュ・フロー計算書については、一定の要件を満たす小規模会社は作成を免除されている。なお、子会社を持つ会社は、連結財務諸表の作成が原則として義務づけられており、一定の要件を充たした場合のみ連結財務諸表の作成が免除される。
・決算日
会社は年1回決算を行う必要がある。決算日は自由に決めることができ、定款に決算日を記載する必要がない。
・決算書の作成時期
決算書自体には法的な作成期限はない。従って、税務条例(Inland Revenue Ordinance)上規定されている税務申告期限や会社条例上規定されている年次株主総会開催日に間に合うスケジュールで作成時期は決定される。
・企業会計と税務会計
企業会計は税務会計とは完全に分離している。例えば、日本では減価償却の計算を税法に合わせる形で行うことがよくあるが、香港では会計処理はあくまで会計基準に従って行われるため、税務条例の規定は影響しない。
・記帳通貨
記帳通貨は、原則として主要取引通貨(機能通貨)を用いる。日本では必ず円建てで記帳することが求められているが、香港では必ず香港ドルかというとそうではないので留意が必要だ。例えば、売上と仕入のほとんどがUSドル建てで行われているような場合には、原則としてUSドルで記帳することになる。ただし、その場合でも税務申告は香港ドルで行う必要がある。

■ 監査
・会計監査(外部監査
日本では上場会社等の一部の会社のみが会計監査を義務付けられているが、香港の場合、公開・非公開を問わず、全ての会社に対して外部の監査人による会計監査が義務づけられている。税務申告の際には申告書とともに監査済決算書を提出する必要があるため、会計監査費用は毎年発生する会社の維持費として考えておいたほうがいい。
・会計監査人
会計監査は、香港公認会計士協会に登録している香港公認会計士もしくは監査法人しか行うことが出来ない。なお、監査の信頼性を担保するため、当該会計監査人は監査を受ける会社から独立した外部の人間であることが求めらる。
・監査基準
会計監査人は、香港公認会計士協会によって定められた監査基準(Hong Kong Standardson Auditing issued by the Hong Kong Institute of Certified Public Accountants)に従って監査を実施する。なお、監査の実施には会社の協力が必要不可欠だ。監査人が要求した資料の提供、実地棚卸への監査人の立ち会い、監査人が金融機関へ送付する確認書への署名等が必要となる。
・監査報告書
監査人は監査を実施した結果として、監査報告書を発行する。監査報告書の記載事項等、雛形は香港公認会計士協会において公表されている。
・休眠会社の監査
会社が休眠期間中であっても税務申告書が送られてくることがあるが、休眠会社の場合は税務申告の際に監査済決算書の提出が免除されるため、実質的に監査を受ける必要が無いと考えらる。ただし、事業再開時には休眠開始時から事業再開時までの監査が必要となるため、監査の免除というよりは、監査の猶予という表現が適切かもしれない。

〈記事提供〉
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