62 法人税

法人税の申告や納税の仕組みとは
初年度の手続きに気を付けて早めの対応を心がけよう
設立初年度と2年目以降の法人税申告手続きについて説明

■ 設立初年度の申告・納税手続きの流れ
①税務申告書が発行される
法人税の税務申告手続きは、香港税務局(Inland Revenue Department) から税務申告書(Profit Tax Return – Corporations : BIR51)が発行、送付される。

②税務申告書の発行日から3ヵ月以内に申告する
香港税務局から発行された税務申告書には、1ヵ月以内が申告期限と記載されている。ただし初年度は別紙としてIR1111という書面が添付されており、初年度に限り税務申告書の発行日から3ヵ月以内を申告期限とする旨が記載されている。しかし、申告期限まで3ヵ月あるが、日本と違い全ての会社に公認会計士による監査が義務づけられているので、税務申告書の添付書類としてその監査報告書を提出しなければならない。会社は、自社または外注により記帳して決算書を作成し、さらにその決算書の内容に問題が無いか公認会計士に監査を受ける必要があるので、その監査期間と監査報告書作成期間が必要となる。監査が始まってから監査報告書の正本が出来上がるまでは通常約2ヵ月程度かかるので、税務申告書が届いてから急いで1ヵ月程度で記帳したとしても3ヵ月の申告期限ぎりぎりになってしまう。
そして困ったことに、この初年度の税務申告書がいつ発行されてくるかを正確に予測することは出来ない。一般的には法人の設立日から15ヶ月後前後に発行されることが多いようだが、届いてから決算作業を始めるとなると大変厳しいスケジュールとなるので、遅くとも設立日から1年ほどで記帳の準備が必要だ。

③賦課決定通知書が発行されてくるのを待つ
香港は日本のような申告納税制度ではないので、税務申告書を提出した時点で納税する必要はない。それは香港税務局が税務申告書と監査報告書、その他の情報をもとに課税所得を査定して税額を決定する、賦課納税制度を採用しているからだ。そのため、税務申告書を提出してから査定期間を経て数ヵ月~半年後に査定された賦課決定通知書(Notice ofAssessment) が発行される。

④税額が確定。ただし1年分の予定納税も必要
上記からもわかるように、決算期末から申告期限が長く、申告してから納税するまでの期間も長いことから、決算期末から実際に納税するまでに約1年間のタイムラグが生じる。このタイムラグを埋めるために、香港は予定納税という制度を採用している。具体的には「次の事業年度においても今期と同じ課税所得が発生する」という仮定に基づき、その課税所得に基づいた税金を納めることになっている。

⑤納税。予定納税も併せた金額を2回で分割払いする
賦課決定通知書には納税金額と納税期限が記載されているが、一見すると確定税額とその納付税額との関係が分かりにくい。というのも、今期の確定税額と来期の予定納税の合計を2回に分割して支払う形になっているからだ(図1参照)。
この図式は2年目以降も同じだが、「今期」の確定税額の数字が、「前期の予定納税額と今期の確定税額との差額」になるので注意が必要だ。

■ 2年目以降の事業年度の申告期限
222年目以降の事業年度の申告期限は、決算月によって決まる。香港の課税年度は4月から3月となるので、4月1日に香港税務局から税務申告書が発行され、その税務申告書には税務申告書の発行日から1ヶ月以内が申告期限であると記載されている。ただし決算月によっては申告期限の延長申請を行うことが出来るので、実務上はほぼ間違いなくこの延長申請を行うことになる。なお、会社の事業年度と申告期限の関係は図2 の通り。

■ 香港の税務調査事情
香港での税務調査事情は、日本とは異なる。

  1.  賦課納税制度なので、税務局は税務申告書の提出を受けてから賦課決定通知書を発行する前に、その税務申告書に対して簡易な審査を行っている。ただしこの段階では、その税務申告書の内容が明らかにおかしくない限り、税務局からの問い合わせはまずない。
  2. 香港の税務局の調査権限は税務申告書提出後7年間なので、その間に税務申告内容に疑義のある会社を調査する。日本ではどんな優良会社でも何年かに一度は税務調査が行われるが、香港では全ての会社が公認会計士の監査を受けていることもあり、税務申告書の内容に疑義が無い場合は全く税務調査が行われない会社も珍しくない。
  3. 仮に税務局が税務申告内容に疑義のある会社を見つけたとしても、税務調査のために必ず会社に臨場するわけではない。むしろほとんどのケースでは、書面による質問状が発行されてきて文書での回答を求めることがほとんどだ。通常は、この文書のやりとりが続き、お互いが納得したところで追加納税額の確定もしくは申告是認という形で税務調査が終了する。
  4. この文書でのやり取りでも税務局の疑義が解消されない状況になってはじめて、税務局員が会社に臨場して税務調査を行う。ここまで至るケースは、税務局が会社に対して強い疑義を持っている場合がほとんどとなる。

〈記事提供〉
King Accounting Limited
TEL:3621 0305
Web:www.king-ac.com

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