香港基本概要

香港在住者なら、地理、人口、通貨、言語、宗教、社会状況や
法律、政治経済など、香港の基本情報を知っておこう。

■ 地理
正式名称は、中華人民共和国香港特別行政区(HongKong Special Administrative Regionof the People’s Republic of China)。中国広東省の南部、珠江(パールリバー)デルタの河口に位置する。東京からは飛行機で約4時間の距離にあり、日本との時差は1時間。香港島、九龍半島、新界および南シナ海に浮かぶ262の島からなり、陸地面積は1104平方キロメートルで、東京都の約半分だ。起伏にとんだ地形で、人々の生活エリアは約25%の平地に限られており、それにより高層ビルが高密度に立ち並ぶ香港独特の景観をつくりだしている。
香港島は北部に市街地が集中し、南部は住宅やリゾート地となっている。九龍半島はビクトリアハーバーに面した湾岸の埋め立てが進んでいる。新界・離島の大部分は、かつては農・漁村地帯で現在も豊かな自然が残るが、一方でベッドタウン、リゾート開発もあちこちで進められている。

■ 気候
香港は温帯夏雨気候に分類され、平均気温は23度と温暖で住みやすそうに思えるが、平均湿度82%~83 %と高く、日本人にとっては少し住みづらい環境となっている。また、5月~9月までは雨が多く、大型の台風も通過する。特に2017年は台風が多く襲来した年で、8月には5年ぶりに10号警報(シグナル10)が発令された台風10号「ハト」と、8号警報(シグナル8)規模の台風14号「パカー」が上陸。台風10号「ハト」の上陸の際は、ビジネスや交通機関が強制的にストップ。死者が13人(マカオ8人、広東省4人、香港1人)、負傷者は500人以上にも上った。1年中同じような気候と思われがちな香港にも緩やかながら四季も存在し、おおよそ、3 月から5 月中旬が春、5月下旬から9 月中旬が夏、9 月下旬から12 月初旬が秋、12 月中旬から2 月にかけてが冬となる。

■ 人口
202018年現在、香港の全人口は747万人。最も多いのは「華人」と呼ばれる中国系で、全体の95%近くを占める。華人以外で多いのは、フィリピン人、インドネシア人で、その多くがメイドなどの出稼ぎ労働者だ。また中国への返還後は本土からの移民が多くなり、現在人口の1割が中国人だと言われている。
香港に住んでいる日本人は、2016年10月時点で2万6,000人(前年度から-4%である)。
香港は山地が多く、居住スペースが少ない。よって香港島や九龍などの中心地は超高層ビルで溢れており、観塘区の人口密度は1平方㌔㍍で5万5,000人を超える。
最近では中国本土からの投資が増え、不動産価格も暴騰している。さらに賃貸なども東京より高くなっているのが現状だ。
一方、先進国とも言われる香港でも未だ水上で生活する人もおり、水上人口は800人程度となる。

■ 通貨
民間銀行と政府が通貨を発行している。香港ドル対日本円為替レートは1HKD=約14.4円(2018年12月現在)。硬貨が10セント、20セント、50セント、1ドル、2ドル、5ドル、10ドルの7種類。紙幣が10ドル、20ドル、50ドル、100ドル、500ドル、1000ドルの6種類ある。香港はクレジットカードの利用が浸透しているので、それほど現金を持つ必要がない。だが、屋台や一部のタクシーではカードが使用出来ない場合もある。

■ 言語
香港の公用語は英語と中国語の二言語。最も多く話されているのが中国語の方言である広東語だが、ビジネスやサービス業では英語も使われている。地区によっては、福建語、潮州語、上海語などを耳にすることもあり、新界の原住民(明、清時代から住み続ける人)のコミュニティーでは客家(ハッカ)語も用いられている。中国標準語(普通通話/マンダリン)は1997年の返還前後を境に急速に普及し、ビジネス用語としての必要性が高まっている。また、香港返還の際に、教育の現場では「両文三語」、英語と中国語の読み書きができ、広東語、北京語、英語が話せる、という教育方針のもとに小学校から北京語学習がカリキュラムに取り入れられた。このようなことを背景として、北京語を流暢に話す新しい世代が育ちつつある。

■ 宗教
人口の圧倒的多数を占める中国系住民には、中国の二大宗教とされる仏教、道教のほか、キリスト教の信徒が多く、少数ではあるが、イスラム教徒もいる。ヒンズー教、イスラム教は、その信徒のほとんどがインドやパキスタンからの移民だ。香港の各地に、寺院、教会、モスクがあり、それぞれの宗教にまつわる行事が行われている。

■ 社会状況・法律
中国と英国が2年におよぶ香港返還交渉の末に取りまとめ、1984年に締結された「中英共同宣言」では、主権が中国に返還されても香港の経済および社会状況には最低限の変化しか及ぼさないことが取り決められた。宣言は国連にも提出され、両国の取り決めは国際世論の下で守り抜かれるべきものとなった。これに合わせて中国側が成立させた「香港基本法」(ミニ憲法)は、香港の資本主義経済体制や社会システムを返還から50年間不変のままで維持し、中国本土の政治、経済とは異なる独自の制度と、軍事および外交を除く高度な自治権を与えることを認めている。この体制は現在も運用されているが、中国本土と香港の経済融合は近年ますます進んでいる一方で、香港での民主化を求める動きも活発化しており、この体制に影響が生じる可能性もある。旧英植民地や英連邦の一員として、香港は150年以上の長きにわたり、「慣習法」(コモン・ロー)に基づいた司法制度を維持してきた。
返還後、特区政府もこの司法制度を100%継承することが基本法で定められており、司法機関は終審法院を最高機関として独立を維持することになっている。これは特区政府が特に対外的に強くアピールしている点でもあり、「法の秩序」が保たれていることが香港の投資先やビジネス拠点としての競争力に結びついている。実際、香港ではいまだ「人治の国」といわれる中国とは全く異なる西側的法社会が維持されており、中国はもちろん、日本ですら比較にならないほど厳しい契約の概念が浸透している。高い知識と経験を持つ法律専門家が多いことも特徴だ。もちろん、先にも触れた通り行政上の大きな不都合などが生じた場合、中国が香港の司法権に関与する可能性も皆無とは言えないが、商取引や資本取引を脅かし香港の対外的信用をおとしめるような逸脱はないものと思われる。

■ 政治
英国植民地時代の香港は、女王に任命された香港総督が統治権を全面的に預かり、立法、行政機能のすべてを牛耳っていた。しかし、返還後は中国政府寄りの実業界の代表などから選ばれた選挙委員会によって選出される行政長官が「首長」となり、「香港特別行政区」を統率している。現在は、2017年に行なわれた香港行政長官選挙で当選した、親中派の林鄭月娥(キャリー・ラム)前政務官が行政長官であり、任期満了となる22年まで香港政権を担う。現在、香港の行政機関は行政長官を筆頭に政務長官、財政長官、司法長官の3長官のもと、12局の部門から成り立つ。70議席ある立法会(議会に相当)は市民による直接選挙と、各業界の代表による間接選挙で選ばれた議員によって構成されている。しかし、間接選挙の選挙人である業界代表や行政会議のメンバーは中国政府寄りの人物で固められており、中国政府の意向が強く反映されるようなシステムになっているのが実情だった。つまり、一見民主的に見えるが中国政府の意思が反映されやすい形に加工された「香港型民主主義」とでも言うべき政治制度が導入されてきたのだ。司法についても、香港の憲法にあたる基本法は全国人民代表大会(全人代)常務委員会が策定したもので、その最終解釈権も同委に委ねられている。このため、三権分立が認められているものの、香港の終審法院(最高裁)判決が中国政府によって覆された事例があるなど完全な形での自治性は認められていない。

〈雨傘革命(Umbrella Revolution)〉
202014年には、民主派の市民による行政長官の直接普通選挙の実施を求める動きが活発化し、9月26日に“雨傘革命”と呼ばれる大規模な反政府デモに発展した。デモの起因となったのは、2017年から1人1票の「普通選挙」が導入される予定であったのに対し、中国の全国人民代表大会常務委員会が2014年8月31日に、「行政長官候補は指名委員会の過半数の支持が必要であり、候補は2-3人に限定する」と決定したことだった。このことを、指名委員会の多数は親中派で占められるため中央政府の意に沿わない人物の立候補を事実上排除する方針とみて、「真の普通選挙」を求める学生によるデモが始まった。香港の高校生と大学生が授業のボイコットをすることから始まり、中環、金鐘、銅鑼湾、旺角など、香港の繁華街や商業エリアでの市民を巻き込んでの座り込みや道路の占拠に発展する。しかし、デモは秩序をもって行われ、物を壊したり、暴力的な行動もなく、警官隊と相対しても市民は武器を持たず手を挙げて平和的に戦った。それに対し警官隊は催眠スプレーや胡椒スプレーを使い市民を鎮圧しようとしたため、それを防ぐために市民は傘やポンチョ、ゴーグルをつけてデモを継続。この光景から雨傘革命と名付けられ、この秩序ある平和的なデモは世界から賞賛された。短期的に収まるとみられていたデモだったが、学生団体は政府との対話を求め続け、最終的にそれは叶わなかったものの、習近平総書記から、「中央政府は引き続き、一国二制度と香港基本法を貫徹する。法に基づいて民主的な発展を進めることを強く支持する」との発言を得るなど、中国に対しても香港人としてのアイデンティティを強く印象付けるに至った。
最終的に銅鑼湾のテントやバリケードが撤去されたのは12月15日、実に79日目に完全終結した。この間、バスなどの交通機関のマヒや、飲食・小売業への影響、中国人が香港を敬遠するなど経済損失は4兆9千億円ともいわれ、デモを非難する香港人とデモ隊との衝突も生まれた。しかしこれらの香港人の民主的な意識は香港の将来に活きるものとなるだろう。

■ 経済
香港の金融システムは「一国二制度」の下で中国とは完全に分離しており、通貨も従来からの香港ドルが流通し、香港ドルは米ドルとの連動相場制(ペッグ制)を採用している。また、自由貿易港、独立した関税地域としての機能も維持しており、自由に外国との貿易協定を結ぶことが出来る。低税率で知られる税制度も特区政府の裁量で調整でき、中国の他の自治体のように税収の一部を国に上納する義務はなく、財政は香港だけで完結している。高度な法秩序や低税率、アジアの中心に位置する地理的優位性などから、香港にアジア拠点を構える外資系企業は返還後も増加した。2007年は10月末に香港株式市場でハンセン指数が3万1000を初めて上回り、終値で過去最高値を記録。また、アリババや中国神華など本土の大手企業が相次いで新規株式公開を実施、香港市場の「中国本土化」が一段と進んだ。2008年に入ると、インフレ率が上昇し市民の生活を圧迫するようになった。さらに、同年9月の米証券大手リーマン・ブラザーズの経営破綻により、世界的な株価下落となり、ハンセン指数も急落。地場産業にも影響を与え、地元中堅会社の倒産が相次いだ。しかし2009年第4四半期から回復の兆しが見え始めた。2010年には内需の高まりと観光客の増加(対前年比22%増)で小売販売が順調に伸び、2011年の実質GDP成長率は5%増となった。その後、2012年から2013年にかけての成長率は1.5~3%程度となり、2014年も同程度の成長率が見込まれている。
202017年は世界経済に回復の兆しが見え、香港にも楽観ムードが漂った。香港特別行政区政府は5月、第1四半期の実質GDP成長率を前年同期比4.3%と発表。内外需ともに好調で、約6年ぶりの高水準となった。
また、住宅相場でも過去最高を記録し、政府が過熱抑制策を強化した後も上昇し続けている。
一方、中国本土では沿岸部を中心に、巨大な経済都市が次々と誕生し、既に上海や深圳に物流拠点の機能が奪われ、中国の経済発展に伴う優位性低下は否めない。

中国の経済発展に伴うそのような情勢下、2018年は中国政府により香港と隣接する広東省やマカオとの一体開発「広深港高速鉄道」と「港珠澳(こうじゅうおう)大橋」に注目を集めた。そして2019年は以前より取り組まれていた西九龍文化地区の再開発に伴い、中国オペラ劇場「戯曲中心」と最大級の視覚美術館「M+」のオープンが予定されている。オペラ劇場には「茶館シアター」や「芸術教育」、「リハーサル施設」に「戯曲プラザ」などが完備されるという。また、香港の観光象徴ともされているピークトラムは2018年末~2021年の間、改装工事が開始。2019年4月~7月までは、第1期の運転休止が決まっているが、ピークタワーなどは通常通り営業しており、路線バスやタクシーなどの利用で観光することは可能である。

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